会議室のホワイトボードに、お客さまの名前をそのまま書いたりはしません。PII(個人を識別できる情報)は、氏名、メールアドレス、電話番号のように、その人を特定できる情報のことです。AI を業務に入れるとき、PII は精度より先に、「入れてよいか」「残してよいか」「誰が見られるか」を決めておくべき対象です。
個人情報は思わぬところに混ざっている
問い合わせの本文、議事録、顧客管理システムのメモ。AI に渡したい文書には、PII が自然に混ざっています。カスタマーサポートの文面を要約する、営業の日報や面談メモを整理する、社内の FAQ を作るために実際のデータを素材にする。どれも、何もしなければ個人情報ごと AI に渡ります。
だから最初に、社内で「何が PII か」をはっきり書いておきます。氏名だけでなく、会員 ID や住所の一部のような断片も対象に含めます。
送る前に伏せ、残すものを決める
- AI に送る前に、自動で伏せる処理(マスキング)を挟み、原文をそのまま渡さない
- 記録(ログ)の保存期間と、見られる人を決める
- 検証用の環境へも、本番のデータを無制限にコピーしない
- 外部の API を使うなら、入力が学習に使われるか、どの地域に保存されるか、どう削除できるかを契約の条件で確かめる
伏せたつもりでも組み合わせで分かる
名前を消しても、会員番号、勤務先、面談の日付がそろえば、誰のことか分かってしまいます。一つひとつの項目を消しただけで安全だと判断せず、組み合わせで特定される可能性(再識別のリスク)を前提に、確認する体制を置いておきましょう。
